【ラクロス関係者必見|脳振盪について知ろう】⑤脳振盪からの復帰

今回は第5弾、脳振盪からの競技復帰に向けてについてご紹介します。
脳震盪になった直後の対応も悩みますが、この復帰に向けては知識があるほど悩むことも多いです。

〈脳振盪の可能性があった。その後、「症状が落ち着いたから翌日から練習に復帰」〉
これは絶対にしてはいけないことです!

脳振盪の後は競技に復帰するまでに、段階を踏んで復帰をしないといけません!
各競技団体から復帰までのプロセスが示されているので、ここで紹介したいと思います!

この復帰までの道のりを「GRTP」と呼んでいます!
※GRTP:Graduated Return To Play=段階的な競技復帰

各競技団体におけるGRTP

ラグビーやサッカー、スキーなどの協会や連盟はGRTPを示しており、インターネットで容易に見ることができます!
現在、どの競技もステージ1~6までの設定をしており、最短6日で競技復帰ができるプロトコルです。

GRTPの各ステージ

●ステージ1:安静
●ステージ2:軽い有酸素運動
●ステージ3:スポーツ特異的な無酸素運動
●ステージ4:コンタクトのないドリル等
●ステージ5:コンタクトを含む練習
●ステージ6:競技復帰

この各ステージは24時間以上経過した後に、次の段階に進むことができます。
つまり、受傷してから24時間は安静のステージ。
症状が落ち着いていたら、ステージ2の軽い有酸素運動に移ります。

ここで大事なのは、症状が出た場合は24時間経過後に再度同じステージに留まって実施することです。
24時間症状の再発や増悪がなく過ごすことができれば、次のステージに移ります。
そのため、最短で6日間のプロトコルです。

以下がラグビーフットボール協会とサッカー協会が示しているGRTPです。
ラグビーの場合は医師の管理下の場合このプロトコルを使用することができます。


[引用元] 日本ラグビーフットボール協会

[引用元] 日本サッカー協会

スポーツにおける脳振盪に関する共同声明 ─第5回国際スポーツ脳振盪会議(ベルリン, 2016)

「スポーツにおける脳振盪に関する国際会議」は夏季オリンピックの年に開催され、スポーツに関連する脳振盪を負った選手の女王体を正しく評価し、安全にスポーツに復帰させることを目指す会議です。

この共同声明は日本語訳も発表されているため、興味のある人はぜひ読んでみてください!
[引用元] スポーツにおける脳振盪に関する共同声明

この中で、GRTPのステージについて改変が提言されました。
提言された段階的復帰は以下の通りです。

 

新しいGRTPの各ステージ

●ステージ1:症状を誘発させない日常生活
●ステージ2:軽い有酸素運動
●ステージ3:スポーツ特異的な無酸素運動
●ステージ4:コンタクトのないドリル等
●ステージ5:コンタクトを含む練習
●ステージ6:競技復帰

 

☆大事なのは補足
「24~48時間の身体的かつ心理的な休息が薦められる」
つまり、ステージ0の安静があるため、これまでより日常生活活動のステージが追加されたことになります。
競技復帰までに最短で7日間の段階的復帰が提言されました。

 

自分のチームでは今後はこの共同声明のプロトコルを採用したいと考えています!

医師の診察

脳振盪が疑われた場合、まずは医師の診察を受けてください!
できる限り早く、有酸素運動に移る前に。
コンタクトを始める前には必ず。

前の記事にも書いたように、頭部外傷は非常に危険な状態の可能性があります。
できる限り速やかに医師の診察を受けるようにしてください!

管理してくれるチームドクターがいる場合はその医師が望ましいですが、ラクロスでチームドクターがいるチームはないと思います。
そのため、脳神経外科やスポーツ整形外科を受診するようにしましょう。

緊急の場合は救急病院で構いません!

病院では

●いつからスポーツに復帰してよいか
●してはいけないことは何か
●どんなリハビリをしていけばよいか
●次はいつ診察に行けばよいか

これはどのようなけがでも選手には医師に相談してもらいます。

さらに、脳振盪の場合は、

●GRTPに沿って復帰してよいか

これは必ず確認してもらいたいと思います!

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▶︎▶︎この記事を書いた人
【名前】宮代祐希(みやしろゆうき) Twitter , Instagram
【所属チーム】法政大学女子ラクロス部
【所有資格】理学療法士、JSPO-AT
【現在の職業】児童福祉施設職員、トレーナー
【経歴】
筑波大学大学院 人間総合科学研究科 修了(修士)
筑波大学女子ラクロス部 ’15〜’17
法政大学女子ラクロス部 ’18〜

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