- ラクロスは他のスポーツと比較して、強度が高く、消費エネルギーが多いスポーツですよね。
さて、ラクロスをしているみなさんは、消費エネルギーが多いことを理解した上で、それに見合ったエネルギーを食事から摂取できていますか?
もし、消費エネルギーに対して、十分なエネルギー摂取ができていないと、身体に様々な悪影響を及ぼします。また、女子ラクロス選手の場合、将来へ影響する大きな問題が発生します。
では、どのような影響があるのか、見ていきましょう。
相対的エネルギー不足(Relative Energy Deficiency in Sport , RED-S)
「相対的エネルギー不足(=RED-S)」とは、健康、日常生活、成長および運動活動に必要なエネルギー消費が日常の食事によるエネルギー摂取を上回った為に生じるエネルギーが足りなくなった状態をさします。つまり、運動で消費するエネルギーに見合った食事(エネルギー摂取)が出来ていないということです。この状態が続くと、卵巣を刺激する脳からのホルモン分泌が低下し、骨代謝などを含む身体の諸機能に影響を及ぼすと考えられます。
相対的エネルギー不足(RED-S)は免疫、月経機能、骨の健康、内分泌系、代謝系、血液、成長発達、メンタル、心血管系および消化器系に影響し、慢性的になると健康とパフォーマンスにまで影響を及ぼすリスクがあります。
相対的エネルギー不足は女性アスリート特有の問題を引き起こします。続けてみていきましょう。
女性アスリートの三主徴
女性アスリートの健康管理上の問題点として、「相対的エネルギー不足(RED-S)」 「無月経」「骨粗鬆症」があり、これらは『女性アスリートの三主徴』と呼ばれています。「女性アスリートの三主徴」は、継続的な激しい運動トレーニングが誘因となり、それぞれの発症が相互に関連します。
女性アスリートにとって重要な問題と言え、これらの影響でパフォーマンスの低下だけでなく最悪の場合競技の離脱につながりかねません。ラクロスは継続的な激しい運動トレーニングであり、まさにこのような問題が発生するリスクが高いといえます。
では「無月経」「骨粗鬆症」について、詳しく見ていきましょう。
無月経
運動性無月経は、これまでにあった月経が3か月以上停止した状態である「続発性無月経」のうち 運動が原因と考えられるものをいい、その重症化や難治性が懸念されています。
発生する主な理由として、①利用可能エネルギー不足、②精神的・身体的ストレス、③体重・体脂肪の減少、④ホルモン環境の変化などが考えられます。
骨粗鬆症
骨粗鬆症とは骨量が減少し、かつ骨組織の微細構造が変化し、そのため、骨がもろくなり骨折しやすくなった状態をいいます。
骨粗鬆症と聞くと、高齢者の病気という印象があると思います。しかし、若い女性であっても無月経になることで骨量が減少し、疲労骨折が発症する危険性が高まります。
卵巣から分泌されるエストロゲンという女性ホルモンは、骨代謝にも関係しています。つまり、無月経が続くとエストロゲンが低い状態になり、骨量の低下が進行するのです。 実際に、疲労骨折を発症したアスリートにおいて、無月経などの月経異常が高率に認められることが知られています。
20歳頃に骨量のピーク(最大骨量)を迎えるため、多くのアスリートが競技生活を送る思春期~20代において月経異常などにより骨量が低下することは、将来的な骨の健康にまで影響を及ぼしかねません。つまり、ある程度正常な周期の月経を維持すること、高い骨量・骨密度を維持することは女性アスリートの女性としての将来に対して非常に重要な課題です。
いかがでしたか。相対的エネルギー不足が引き起こす様々な問題をご理解いただけたでしょうか。
日常的な食生活においては、バランスのとれた食事や、運動によるエネルギー消費量に見合ったエネルギー摂取量の維持を心がけるなど意識し、相対的エネルギー不足とならないように気を付けていきましょう。
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【参考文献】
JFA栄養ガイドライン
JAPAN SPORT COUNCIL
▶︎▶︎この記事を書いた人
【名前】アスラクごはん
【所属メンバー】河合 由美、谷北 沙尚里、金井 麻由美(管理栄養士)、田中 千晶(管理栄養士)