パフォーマンスを大きく左右する『試合期に摂るべき食事』

試合期の適切な食事とは?

みなさんは試合期にどんなことを意識してコンディションを整えていますか?
練習をたくさん積んで自信をつけることも大事ですが、試合にベストコンディションをもってくるのも大事なことです。

ラクロスの試合は運動量も非常に多く、高度なスキル・思考が求められるため、身体のコンディションを整えておくことは、試合で良い結果を残すための大事な準備と言えるでしょう。

『今日は身体が重いな。』『おなかが張っているな。』

などと思いながら練習に臨んだこと、ありますよね。

それが試合当日だったらどうでしょう。
試合前・試合中は「いつもだったら」という言葉が通用しません。

さらに「緊張や興奮状態」によって、コンディションにも影響が出てきます。

緊張や興奮は、試合当日や試合中だけでなく、試合前から始まることも多くあります。
「緊張や興奮をしない方が良い」というわけでもなく、自分の意思でどうにかできるものでもありません。

トレーニング同様、「栄養管理」も「最大限の準備」をしておくことが重要です。

また、実践してきた「行動」が、「自信」に繋がっていき、結果に結びついていきます。

「実践」を積み重ね、「自分のパフォーマンス」を発揮できる選手になりましょう!!

【1】試合に向けて「最高のパフォーマンスを発揮するために必要な栄養管理」とは?

では、試合に向けてどのような準備をしたら良いのか?

「緊張・興奮」によって、コンディションへ様々なリスクがあります。
そして、どのような症状が出るかは、個人差があります。
自分のカラダをよく観察し、傾向を把握することで適切な対策をとることができます。

緊張・興奮によるコンディションのリスク

①消化・吸収の抑制

運動することにより、交感神経が優位になり、「消化・吸収」が抑制されます。
さらに試合前や試合中は、緊張や興奮が加わり、さらに消化・吸収が抑制されます。
緊張や興奮によって、どのくらい消化・吸収に影響があるか、わかりません。また個人差も大きく影響します。
各自、過去の「自分自身の経験と傾向」からリスクになりうることを推測し、対策を立てることがポイントです。

【消化が抑制されることによる症状】
□胃もたれ
□膨満感
□吐き気
□下痢

消化されなければ、吸収もされません。
消化の状態によって、吸収量が決まります。

《対策》
□試合前・当日の食事は「消化が良いもの」にする
□よく噛んで食べる

②食欲不振・食欲亢進

【食欲不振】
①食べたくないので、長時間食べないでいる
②食事はするものの食べる量が減る
→消費エネルギーと摂取エネルギーのバランスが崩れると、「疲労が抜けない」、「免疫力低下による体調不良」などのリスクが高くなる。
体重減少(特に筋量の減少)が起こることが多いので、このような傾向がある選手は注意しましょう。

《対策》
□食べる量を決めておく(特に糖質の摂取不足が起こらないように!!)
→食べられない場合は、「どのようにしたら食べれるか?」を考えておく。

【食欲亢進】
緊張や興奮をどこにぶつけて良いかわからないときに、「動き回る」、「おしゃべりになる」、「ちょっかいを出す」など、様々ですが、それが「食」に出てしまう人もいます。
体重増加や食べ過ぎによる消化不良、低血糖のリスクなどが高くなります。
《対策》
□体組成を把握する
□食べる量を決めておく

③試合中のエネルギー不足(ガス欠)

【原因】
①試合時間の延長や試合開始時刻の遅延による糖質不足
②緊張・興奮によるエネルギーの必要量の増加
→緊張・興奮によって、体に力が入る、呼吸数が上がることで、予想以上にエネルギーを消費してしまう。
《対策》
□体内に糖質をしっかり貯蔵する栄養計画を立てる
→「試合前・当日」にどのくらい食事(特に糖質)を摂取しているか把握することから始めましょう!

④試合中の脱水

【運動中の発汗】
①運動中の体温調節による温熱性発汗
②試合期の緊張や興奮による精神性発汗
試合中は、脱水のリスクがとても高くなります。
精神性発汗による汗は、エクリン腺だけでなく、アポクリン腺からも多く分泌されます。アポクリン腺からの汗は、「糖質や脂質」を多く含見ます。
興奮や緊張の度合いが高くなれば、熱中症や脱水のリスクも上昇します。
《対策》
□試合前から、脱水の予防をしておく
□試合中の水分補給の計画を立てる
→「試合前・当日」にどのくらい水分を摂取しているか把握することから始めましょう!

【2】試合期の食事の基本ルール

□「いつも通り」を実現するように心がける。
□「緊張と興奮状態からくる栄養状態への影響と対策」を理解し、実践する
□「試合3日前から当日にかけての食事ルール」を実践する

【試合3日前から当日にかけての食事ルール】
試合当日は交感神経が優位となることで、エネルギー消費が多くなるリスクがあります。
試合3日前からの食事を意識的に変えていくことで、エネルギー不足のリスクの対策をすることができます。

ルール1:高糖質

→脂質を減らした分のエネルギーを糖質(ごはん)でとる
目安:ごはんの量を通常の1.5〜2倍

ルール2:低脂肪

→揚げ物、炒め物などの油を使用したメニューを減らす

ルール3:タンパク質維持

→タンパク質のメニューの量は維持

<試合当日の食事>
試合当日は、試合の開始時間から逆算して、食事計画を立てましょう!

タイムマネジメントも、栄養とコンディショニングについて考えていく上でとても大切なスキルです。

①食事は試合の2時間半〜3時間前に食べ終わる
食後血糖値が上昇してから、空腹の状態になるまでに約2時間かかるため。
血糖値が高い状態で運動をすると乳酸がたまりやすくなり、体が重いと感じることがあります。
ウォーミングアップの時間も考えて、食事の時間を調整することがポイントです。
食事の内容は、「消化吸収が良いもの」を選択しましょう。

②グリコーゲンを満タンにしておく
補食やサプリメントを活用し、試合開始までグリコーゲンを満タンにしておくことでガス欠のリスクを減らすことができます。
消化吸収のことを考え、選択する食品、摂取するタイミングを調整しましょう。
バナナやエネルギーゼリーなどが、オススメです。

いかがでしたか。
今までの試合当日を振り返ってみると『お腹が張っていて動きづらかったなぁ』『試合の後半でバテていたなぁ』と思い当たる節があるかもしれません。
是非試合期の食事を見直して、最高のパフォーマンスをできるようになりましょう!

【参考文献】
<HP>第一三共ヘルスケア
<HP>東京山手メディカルセンター 栄養管理室

▶︎▶︎この記事を書いた人
【名前】アスラクごはん
【所属メンバー】金井 麻由美(管理栄養士)田中 千晶(管理栄養士)

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