疲労骨折とは
みなさんは疲労骨折はどのようなときに起こると思いますか?
疲労骨折とは、1回の大きな衝撃で起こる骨折と異なり、骨の同じ部位に繰り返し負担がかかることで骨にひびが入り、骨折となることをいいます。特に長時間運動を続けるマラソンなどの持久力系の競技では、疲労骨折のリスクが高いです。
ラクロスも持久力が求められる競技な上に細かい動きも多いため、疲労骨折となるリスクは十分に高いと言えるでしょう。また、自主練習でランニングをする際には、堅いコンクリートの上を走って足に負担がかかっている方も多いのではないでしょうか。ここでは、疲労骨折への理解を深め、疲労骨折のリスクを抑える栄養の摂り方について記していきます。
疲労骨折の特徴
疲労骨折が厄介なのは、痛みがあっても運動を続けられる点です。最初のうちは自覚症状がなく、骨にわずかな亀裂が入った程度でも、無理してプレーを続けていると、やがて完全な骨折に至ります。
一度に大きな力が加わったことによるケガが原因で起こる外傷骨折と違い、強い痛みや皮下出血、大きな腫れを伴うことはないものの、運動しているときや圧迫したときに痛みを感じることが多いです。痛みのある部位が腫れたり、少し膨らんだりする場合もあります。
すねや足の甲などの下肢の骨で起こることが多く、主な原因は使いすぎによる負担の増加であるため、まずは疲労をためないよう、適度に休息をとりましょう。
他には食生活で行える対策があります。
疲労骨折を防ぐ食事とは
スポーツは筋肉収縮を連続して行う作業です。そして筋肉を収縮させるにはカルシウムが必要になります。それだけでなく、骨を強化するためにもカルシウムを日頃からとる習慣をつけることが大切です。
また、ビタミンDはカルシウム吸収や骨への沈着をサポートする作用があるので、カルシウムとあわせてとるといいです。マグネシウム、ビタミンC、ビタミンKも骨の形成に関与していることも是非覚えておいてください。
カルシウム
筋肉収縮などに使うカルシウムが足りなくなると、骨からカルシウムを補おうとするため骨密度が低下します。そのままスポーツを続けると、疲労骨折のリスクがさらに高まってしまいます。
実は運動中に大量にかく汗によっても、カルシウムは失われていきます。
スポーツ選手は夏場になると、一度のトレーニングで2~3ℓ以上の汗をかくこともあります。汗1ℓにカルシウムが50mg含まれるとされ、3ℓの発汗で150mgものカルシウムが排出されてしまう計算になります。
このようにスポーツ選手にとってカルシウムはとても重要な栄養素です。カルシウムが不足すると疲労骨折につながる原因となるほか、イライラする・すぐにカッとするなど、精神面でも悪影響を受けやすくなると言われています。これは試合中、ストレスがかかる中で冷静に状況を判断することを求められるラクロス選手にとって、避けたい精神状態ですよね。
カルシウムは牛乳、チーズなどの乳製品、切り干し大根、小魚、ひじき、チンゲン菜などに多く含まれています。
吸収率にも優れているのは、乳製品です。日本人がカルシウム不足になりやすいのは、欧米人に比べると乳製品をとる量が少ないからだと言われています。
一般の人が1日に必要とされるカルシウムの量は約700mgですが、スポーツ選手は1000~1200mg必要になります。牛乳は100g中に110mgのカルシウムが含まれており、吸収率が40%と他の食品に比べて高くなっています。また、大豆製品もカルシウムの含有量は多いため、乳製品とあわせて1日1~2回は食べるようにしましょう。
また、カルシウムの吸収を阻害する食品を減らすという点もポイントになります。カルシウムの吸収を抑制するといわれている栄養素にはリン・シュウ酸・フィチン酸・脂肪などがあります。
中でもリンは、間接的にカルシウムの吸収に影響すると考えられており、リンの摂り過ぎはカルシウムの吸収を阻害してしまいます。リンはインスタント麺・ファストフードなどに食品添加物として使用されていることが多いです。
リンも体にとって必要な栄養素ですが、適量を超えてしまうと他のミネラルとのバランスを崩し、栄養素の吸収を阻害するリスクがあります。加工品の摂取を控えるだけでも、リンの摂取を減らすことができますので、考えて選択するようにしましょう。
ビタミンD
ビタミンDは、腸でのカルシウム吸収を促進します。きのこ類、鮭、サンマ、ぶり、レバー、卵黄等に豊富に含まれます。また、日光に当たることで皮膚でもビタミンDが産生されます。
※成人目安量5.5μg
ビタミンK
ビタミンKは、骨にカルシウムを取り込み強くします。
※成人目安量1日150μg
いかがでしたでしょうか。
骨=カルシウム摂取というだけではなく、カルシウムの吸収率をアップしたり骨の形成をサポートする栄養素の組み合わせも意識してみてください。
具体的には…
■牛乳や豆乳のスープを摂る
■ドライフルーツやナッツを補食として摂る
■味噌汁に海藻類を入れる
など、『こまめに摂取すること』をポイントにしながら工夫して食事に取り入れてみましょう。
振り返ってみると「実はあのとき疲労骨折していたのかも…」なんて思った方もいたのではないでしょうか。疲労骨折を理解し、十分な休息をとり、あわせてカルシウム等の栄養素を摂取することで、練習や試合でのパフォーマンス向上をしていきましょう!
【参考文献】
オムロン株式会社HP(痛みwith)疲労骨折とは何か?起こる原因と部位、予防法など
森永製菓株式会社HPカルシウムの摂取目安量とカルシウムを多く含む食品を紹介
亀田メディカルセンター 骨粗鬆症リエゾンチーム骨粗しょう症にならないための食事
■カルシウム‐その基礎・臨床・栄養 (社)全国牛乳普及協会、江澤郁子他 編
▶︎▶︎この記事を書いた人
【名前】アスラクごはん
【所属メンバー】河合 由美、谷北 沙尚里、金井 麻由美(管理栄養士)、田中 千晶(管理栄養士)