ラクロスにおいて発生率の高い怪我として思い浮かぶのは『足首の捻挫』
この記事では、特に多い足関節の『内反捻挫』のアスレティックリハビリテーション(以下アスリハ)についてお伝えします!
1.足関節捻挫とは?
怪我にはスポーツ『外傷』と『障害』の2種類があります。
『外傷』とは、捻挫や骨折などの突如発生する怪我のこと、『障害』とは、腰痛などの慢性的な怪我のことを指します。
ゆえに足関節捻挫は『スポーツ外傷』の1つです。
足関節の捻挫には『内反捻挫』と『外反捻挫』があり、発生頻度は『内反捻挫』の方が多いです。なぜ内反捻挫の方が多いかを解剖学的な視点で考えると、『腓骨と脛骨の長さ関係』と『内外側の靭帯の強さ』が挙げられます。腓骨の遠位端(外くるぶし)が脛骨の遠位端(内くるぶし)よりも地面側に位置していること、内側の靭帯よりも外側の靭帯の方が脆弱であることから、内反捻挫が頻発します。内反捻挫では『前距腓靭帯』を損傷することが多く、その割合は約 80%とも言われています。
※受傷シーン↓↓ 受傷シーンを不快に思う恐れがあるので閲覧にご注意ください。
2.足関節捻挫のアスリハの流れは?
(出典:日本整形外科学会)
内反捻挫の重症度は3つに分けられます。
重症度 | 状態 | 全治までの期間 |
I度 | 前距腓靭帯の伸長あるいは部分断裂 | 2〜10日 |
II度 | 前距腓靭帯の完全断裂 | 10〜30日 |
III度 | 踵腓靭帯損傷及び後距腓靭帯の断裂 | 30〜90日 |
(出典:日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー教本より)
(出典:Reid, D.C. : Sports Injury Assessment and Rehabilitation. New York, Churchill Livingstone, 1992, p.226)
※全治(治療を要する期間;スポーツ復帰が可能な完治ではない)
また損傷程度によって、アスリハの期間は大きく変わってきます。
まずアスリハの期間を段階分けすると
『患部マネジメント期』
『日常生活動作(歩行)獲得期』
『スポーツ動作(走行)獲得期』
『専門動作(ラクロスの動き)獲得期』
になります。さらに細かく見ていくと、『非荷重→荷重』『単関節運動→多関節運動』などの順番が存在します。つまり、簡単にお伝えすると『徐々に負荷を増やしていく』ことが大切になります。
3.足関節捻挫のアスリハの注意点は?
上記のように、アスリハは『徐々に負荷を増やしていくこと』ことが重要です。色々なトレーニングを各チームでされると思いますが、痛みが引いたからといって、すぐに負荷をかけたトレーニングを開始するよりも、まずは『可動域訓練』、つまり足関節を大きく動かすためのトレーニングを行った方が予後が良い傾向にあります。可動域訓練を行なってから、先述のアスリハの流れに沿ったアスリハをしていくことをおすすめします。
次回は足関節内反捻挫のアスリハにおすすめのエクササイズについてお伝えします。
▶︎▶︎この記事を書いた人
【名前】森川稔之 Instagram Twitter
【現在の職業】アスレティックトレーナー
【所属チーム】横浜国立大学女子ラクロス部
【所有資格】
・日本スポーツ協会公認 アスレティックトレーナー
・日本トレーニング指導者協会認定 トレーニング指導者
・日本コアコンディショニング協会認定 マスタートレーナー
【経歴】
・2011~2015 東日本女子ラクロスクラブチーム「CHEL」
・2016〜2018 青山学院大学女子ラクロス部
・2019〜2020 横浜国立大学女子ラクロス部