活動自粛からの安全なスポーツ復帰

5月25日に緊急事態宣言が解除され、これを書いている今は1か月が経過した頃です。

プロ野球は開幕し、スポーツにも明るい兆しが見え、先週末からはJリーグも開幕しました!

ラクロス協会から、【2020年基本方針、及び、活動再開ガイドライン】が発表されました。
その中に、以下の内容がありました。

『コロナウイルス感染のリスクを許容した上で活動を再開することを決めました。これはつまり「感染者が出ることを想定している」ということであり、結果として不幸にも協会会員が感染してしまうことは十分に起こりうると考えています。』
withコロナに相応しい、コロナウイルスへの感染リスクを考えた上での競技再開ということです。

そのため、準備をした上で練習を再開するチームも増えてくると思います!
本当に待ち望んでいた日が来ましたね!

ただ、懸念材料があります。

5月16日に再開したドイツのブンデスリーガ(サッカーリーグ)では、けがが続出。
けがの発生率は以前の3倍にものぼるとの結果が発表されました。

動きたくて、プレーしたくて仕方ない。
ラクロス再開だーーー!
みんなに会える!

気持ちは本当にわかります。
ただ、けがをしてしまうと、せっかくここまで我慢してきたのに、またプレーができなくなってしまいます。

そこで、今日はNSCAが提唱している安全な復帰の方法(運動強度の設定方法)をについて紹介したいと思います!

アスリートのための安全なトレーニング再開に関するNSCAガイドライン

NSCA(全米エクササイズ&コンディショニング協会)はCOVID-19による不活動からの復帰における運動負荷のガイドラインを示しています。
その中からいくつか抜粋して書き出します。
・練習の日/代替トレーニング日をつくり、グループトレーニングを制限または調整する(グラウンドに大人数が集まらない方法を)
・効率的なトレーニング方法を優先し、ワークアウトを週に2~3回の連続しない日で行うよう制限する(低い頻度から始める)
・プログラム設計において、アスリートのコンディショニング状況に基づいたグループ化を検討する
・ウェイトルームの換気を最大化するとともに、相対湿度は≤60%にする
・可能な限り、屋外のトレーニングスペースを利用する

疲労困憊になるような多量の最大下での練習やトレーニングを行ったり、短い時間で急激に行ったりすることを避ける
・競技に関連する動作パターンを再構築するために、毎日10~20分の動的ウォームアップを積極的に行う
・非活動期間の長期化により、DOMS(遅発性筋肉痛)の可能性が高まることを考慮する
・アスリートの状況を把握するための事前スクリーニング、予備調査、練習負荷のモニタリングの実施を検討する
特に高温多湿環境下の場合、環境要因に合わせたワークアウトを計画および調整する
「メンタルタフネス(精神力)」を高める目的で、身体を疲労困憊まで消耗させるトレーニングを行わない

まずは練習ができる喜びを噛みしめて、練習強度は物足りないくらいがちょうどです!

運動負荷の設定

NSCAは50/30/20/10ルールというものを示しています。
活動休止前を100%として、再開1週目は量も質も50%、2周目は70%、3周目は80%、4週目は90%、5周目は100%と徐々に運動強度を上げていきます。

そして、1週目はWork:Restの比を1:4に設定し、2週目は1:3に設定します。
これは普段のトレーニングから考えると、レストが非常に長く感じると思いますが、久々の練習なので、物足りないくらいがちょうどよいと思ってください!


(NSCAより引用)

ウエイトトレーニングの強度設定b

これもNSCAからF.I.Tルールというものが示されています。
ウエイトトレーニングを開始する場合、COVID-19版は週に2回から開始するとされています。

トレーニング強度の設定は、回数×セット数×%1RMで計算をします。
もし、「回数×セット数×%1RM」の意味が分からない場合は専門の人に相談してください!

例えば、70%1RMの負荷で10回×3セット実施したとすれば、70%×10×3=21という計算になります。
この数字が11~30までの間になるように調整します。そのため、80%×8回×5セットは32のため、過負荷ということになります。

ウエイトトレーニングの再開は重量は低めに設定しましょう。
また、1週目はWork:Restの比を1:4に設定し、2週目は1:3に設定します。


(NSCAより引用)

これらのガイドラインに基づき、少なくとも再開後4週間はコンディションを戻す期間と考えた方が良いのではないかと考えます!

 

熱中症の予防

テレビなどのメディアでも取り挙げられていますが、熱中症には十分注意をしてください!
最後にグラウンドで練習していたのは3月。
練習再開するいまはもう7月になろうとしています。
この期間に徐々に気温が上がり、暑熱順化といって体が暑さに慣れる過程が必要です。
しかし、今年はステイホームのために体が例年のように暑さに慣れていません!

そのため、十分すぎるくらいに熱中症対策を実施してください!

休憩をこまめにとり、水分摂取を十分に行い、体調がすぐれないときは無理をしないでください。

熱中症の対応や水分補給については過去のコラムを読んでいただければと思います。
現場で使える熱中症対策|水分補給編
【ラクロス関係者必見|熱中症対策】現場で使える熱中症対策|救護編

これから、ラクロス再開に向けて、安全に復帰できるように。
感染対策に加えて、様々なガイドラインを踏まえた運動強度の管理も設定することが重要です!

▶︎▶︎この記事を書いた人
【名前】宮代祐希(みやしろゆうき) Twitter , Instagram
【所属チーム】法政大学女子ラクロス部
【所有資格】理学療法士、JSPO-AT
【現在の職業】児童福祉施設職員、トレーナー
【経歴】
筑波大学大学院 人間総合科学研究科 修了(修士)
筑波大学女子ラクロス部 ’15〜’17
法政大学女子ラクロス部 ’18〜

関連記事

  1. 傷害調査のすすめ②【ラクロスでの傷害調査方法のやり方と詳細】

  2. 【ラクロス関係者必見|熱中症対策】現場で使える熱中症対策|水分補給編

  3. 傷害調査のすすめ 〜ラクロスではどんなケガが多いか知っていますか?〜

  4. 【ラクロスチームのMG/TR/SG必見!!】ケガをチェックするためのメディカルテスト

  5. 【ラクロス関係者必見|熱中症対策】現場で使える熱中症対策|救護編