パワーが向上すれば2章で示したようなパフォーマンスが上がりますが、数値で評価するにはどうすれば良いでしょうか。
筋力の伸びはベンチプレスやスクワットなどのウエイトトレーニングの数値で測られることが多いですが、パワーはスピードの要素が入るためにもう少し実際の動作に近い測り方をします。
1.下半身パワーの測定
1−1.30m走
【目的】ランニングスピード能力・前方への重心移動能力を測定します。
【方法】
①光電管をスタート地点、30m、50m地点に設置します。
②自分のタイミングで走り出し、50mを駆け抜けます。
※光電管が準備できない場合には、ストップウォッチでも代用可能です。
1−2.立ち幅跳び
【目的】前方へのパワー発揮(両脚)能力を測定します。
【方法】
①踏み切り線を1本引きます。
②両足を軽く開いて、つま先が踏み切り線の前端に揃うように立ちます。
③両足で同時に踏み切って、前方向に飛びます。
④身体がグラウンドに触れた位置のうち、最も踏み切り線に近い位置と、踏み切り線の前端とを結ぶ直線の距離を計測します。
1−3.3段跳び
【目的】前方へのパワー発揮(片脚接地を含む)能力を測定します。
【方法】
①踏み切り線を1本引きます。
②両足を軽く開いて、つま先が踏み切り線の前端に揃うように立ちます。
③両足で同時に踏み切って、前方向に飛びます。
④右→左→両足着地、もしくは左→右→両足着地をします。
⑤最後に両足着地をして、身体がグラウンドに触れた位置のうち、最も踏み切り線に近い位置と、踏み切り線の前端とを結ぶ直線の距離を計測します。
2.上半身パワーの測定
2−1.遠投
【目的】下半身からの力をボールに伝えられているか確認します。
【方法】
①スタートラインを20m引き、投球位置とします。
②スタートラインから垂直に100mメジャーを置きます。
③スタートラインの両端から垂直に線を引いておきます。
④この線より外側に落下した場合やり直しとします。
⑤実施者(PL)はスタートラインを踏まないように矢印の方向に向かってボールを投げます。
※助走は自由。投球後はスタートラインを超えて良い。
⑥測定者(ST)はボールの落下地点を確認し、メジャーの最も近い値を記録とします。
⑦左右それぞれ測定します。
※力んで意図しない方向に飛ぶこともあるので、周囲の人に必ず声を掛けてから実施しましょう。
(※4:00あたりからご覧ください)
2−2.メディシンボール投げ
【目的】下半身からの力をボールに伝えられているか確認します。
【方法】
■アンダーハンドスローの場合:下肢伸展〜体幹部伸展〜肩屈曲のパワー測定
①スタートラインを決め、スタートラインが正面になるように立つ。
②足幅は肩幅より広めに広げ、つま先がスタートラインに触れないようにする。
③MBを両足の間に振り下ろし、反動を使って、全身でボールを前方に投げる。
※MBを投げた後であればスタートラインを超えても良い。
④スタートラインからMBの初めの落下地点までの距離を測定する。
■ツイストスローの場合
①スタートラインを決め、スタートラインが側面になるように立つ。
②足幅は肩幅程度に広げ、足がスタートラインに触れないようにする。
③後方の下肢に体重を載せ、体幹を捻りながらMBを後方に引く。
④後方の下肢を伸展しながら体幹を回旋させ、MBを側方に投げる。
※MBを投げた後であればスタートラインを超えても良い。
⑤スタートラインからMBの初めの落下地点までの距離を測定する。
■以下の方法は動画を参照。
・オーバーヘッドスローの場合:アンダーハンドスローよりも広い可動域でのパワー測定
・プッシュパススローの場合:胸部・腕のパワー測定
次のページでは「おすすめのパワートレーニングプログラム〜初心者編〜」について解説します。
▶︎▶︎この記事を書いた人
【名前】渡邉歩 Instagram Twitter
【現在の職業】大学生/専門学校生
【所属チーム】
神戸大学(トレーナーコーチ)
関西強化部(トレーナー)
【所有資格】
・JATI-ATI
・スポーツメンタリスタ
・スポーツリズムトレーニングデュフューザー
・はり師、きゅう師(取得予定)
【経歴】
2016,2019〜 関西強化部トレーナー
2018〜2019 兵庫学生トレーナー団体『rise』2代目代表
2019〜 関西ラクロストレーナー連合√L代表