傷害調査のすすめ②【ラクロスでの傷害調査方法のやり方と詳細】

前回の記事で「みなさん、一緒に傷害調査をしましょう!」という内容を書きました!


ラクロスの未来をつくる1歩。
これは過言ではないと思います!

今回は詳細な方法について書いていきたいと思います!
ぜひ、使っていただければと思います!
僕と一緒にやりたい方、方法や不明点を教えてほしい方がいれば、
いつでも連絡をお待ちしています!

傷害調査シート

僕はExcelで傷害調査のシートを作っています。
項目はいくつかありますが、慣れればすぐに入力できます!
傷害調査シート(INJURY SURVEY SEAT)を載せておきますので、使いたい方はぜひ!

INJURY SURVEY SEAT[LACROSSE PLUS]

傷害調査の項目

・受傷日:受傷した日
・復帰日:復帰した日(僕は対人メニューに少しでも参加できれば復帰とみなしています)
・名前、学年、ポジション
・左右:ケガをした側
・大項目:頭部と体幹、上肢、下肢の中から選択
・受傷部位:[大項目]を選んでから部位の詳細を選択
・傷害別:大きな傷害分類の中から選択
・傷害の種類:[傷害別]を選んでから詳細な傷害を選択
・傷害の原因:ケガになった理由を選択
・練習or試合
・詳細:練習の日のどの場面かor試合の日のどの場面か
・受傷場所:練習場所の記録(どこorどんなグラウンドかの把握)
・復帰までの日数:何日で、もしくは何日以内で復帰したか
・重症度:minimal(1~3日)、mild(4~7日)、moderate(8~28日)、severe(29日以上)

傷害調査シートでは、基本的には選択式になっているので、選ぶだけでOKです!
ひとつ前の項目を入力しないと選択できないものもあるため、左から順に入れていくことをおすすめします!

受傷部位

●細かく24の部位に分かれています。

傷害の種類

●大項目とそれぞれの詳細に分かれています。

傷害の原因

●Dick.Rら(2007)を参考に、ラクロス特有の受傷シーンにしています。

復帰までの日数

●ケガをしてから何日で復帰したか。
グラウンドで対応したけど、その日や翌日にTime lossなく復帰したのであれば、「0日」のケガも存在します。
むしろ、0日は多いです。

ここまでの入力ができれば、傷害調査シートは完璧です!
そんなに難しくないですよね♪
わからなければ、いつでもフォローします!

ここからは中・上級者編

海外の文献や他の傷害調査と比べる時に必要なものがあります!

「1シーズンで、Aチームはケガが100回あった。Bチームはケガが80回あった。」
AチームのケガがBチームよりも多かったのはなぜだろう?


ちょっと待った!
Aチームは1シーズンで練習を200回やってたけど、Bチームは80回だったよ。
じゃあ、「Aチームは2回に1回ケガをする。Bチームは1回に1回ケガをする。」
あれ、Bチームの方がケガしてるやん。

こういうことが起きます!
なので、1シーズンや記録を取った期間で「何回練習をしたか」これを記録しているとよいです!
この練習機会で比較することを「Athlete Exposures(AE)」と呼び、練習機会におけるケガの頻度を調べます。
『1000回練習をすると、何回ケガが起こるか。』で基準を合わせて比べます。

●もう1つ!

AチームもBチームも100回ケガがあった。
練習の回数も200回で同じだった。
じゃあ、この2チームのケガの頻度は同じなんだね。


ちょっと待った!
Aチームは毎回3時間練習するけど、Bチームは2時間だったよ。
じゃあ、「Aチームは合計で600時間で100回ケガをする。Bチームは400時間で100回ケガをする。」
あれ、Bチームの方がケガしてるやん。

こういうことも起きます!
なので、1シーズンや記録を取った期間で「何時間練習をしたか」これを記録しているとよいです!
この練習機会で比較することを「Player hours(PH)」と呼び、練習時間におけるケガの頻度を調べます。
『1000時間練習をすると、何回ケガが起こるか。』で基準を合わせて比べます。

時間の記録が難しい場合は練習機会(AE)だけでも、ある方がよいです!
そして、練習と試合は分けておくと、練習のケガと試合のケガの頻度を比べることができます!
法政女子のAE、PHの記録のルールは以下の通りです!


さいごに

この2回で傷害調査について説明をしてきました!
ケガの頻度や原因を調べることは、ケガの予防だけでなく、競技の特徴や特性を把握したり、
ルールの適切さを推し量ったり、メーカーの開発に役立ったり、トレーナーの強みを持つことにもなります。

そういう意味で、少しの手間をがんばって積み重ねることによって、
この競技の未来への1歩になると思っています。
ぜひ、一緒に傷害調査をしてみませんか?

一緒に傷害調査をして、シーズン末にみんなで結果を見て、あれこれお話しできるといいですね!
ラクロスの傷害について、明らかにしましょう!

▶︎▶︎この記事を書いた人
【名前】宮代祐希(みやしろゆうき) Twitter , Instagram
【所属チーム】法政大学女子ラクロス部
【所有資格】理学療法士、JSPO-AT
【現在の職業】児童福祉施設職員、トレーナー
【経歴】
筑波大学大学院 人間総合科学研究科 修了(修士)
筑波大学女子ラクロス部 ’15〜’17
法政大学女子ラクロス部 ’18〜

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