「ドンッ!」
「イタッ!」
いきなり予期しない方向から選手が出てきて、ぶつかって腫れた。
またゴーリーはシュートをカラダを投げ出して防いだことで、ガードをしていないところにボール当たって腫れた。
そんな経験をしたことはありませんか?
この外から力が加わったことで、筋肉が傷つき腫れることを“打撲”と言います。
「いつものことだから、ほっとけば治るよ」
と、何も対処せずにいると、意外と長引いたり、深刻な症状を引き起こす可能性があります。
今回はラクロスで起きやすい“ももの打撲”と、その応急処置の方法についてお伝えしていきます。
1.打撲とは?
打撲とは、転倒や衝突などの外的な力がかかり、筋繊維や血管が損傷すること をいいます。
ラクロスでは、相手選手との衝突や転倒での受傷に加えて、クロスが当たったり、ゴーリーのガードをしていない部分にシュートが当たることでも受傷をします。
外的な力が加わったことで、炎症反応が起き、その部分が腫れ、痛みが出ます。
ちなみに、肉離れのように外的な力が加わらずに受傷した場合は、打撲には含まれません。
2.打撲をした場合の応急処置
打撲をしてしまった場合には、痛みを軽減するとともに、その部位を悪化させてしまわないため、すぐに RICE処置 を行うことが重要です。
RICE処置の方法に関しては、以前の記事に詳しく記載しているので、こちらをご覧ください↓↓
基本的には、この記事のようにRICE処置を行えば問題ないのですが、よりケガした部位の治癒を促し、選手を早くグラウンドに復帰させるためのポイントが2つあります。
①血流を抑えるための圧迫
外的な力が加わり、血管が傷付くとその血液がまわりの筋肉に触れて、悪い影響を及ぼすことがあります。
その悪い影響の1つが、筋肉の癒着。傷付いた部分がまわりの組織とくっついて、伸びにくくなったり、力を発揮しづらくなったりします。
指を切ってしまった際に、ぐっと押して止血をするように、打撲をしてしまった際も圧迫をして止血をすることが大切。
写真のように、バンテージやテーピング(自着・ホワイト等)を用いて圧迫を掛け、血液がまわりにまわりに広がらないようにしましょう。
キネシオテープを使っての圧迫方法に関しては、こちら↓↓
②伸びにくさを抑えるための固定
もう1つは、Protect(保護)、Support(固定) の方法です。
圧迫をして出血を抑えるとともに、ケガしてしまった部位が固まって伸びにくくなってしまわないように、筋肉を伸ばした状態で固定することが、選手をより良い状態で早期に復帰させるためのポイントです。
もも前の打撲をした場合には、上の図のように膝を最大限に曲げた状態で、圧迫と固定をします。
痛めてしまった部位を伸ばすことで、より悪化させてしまうのではないか?という不安もあるかも知れませんが、急激に伸ばしたり、その動作を繰り返したりしなければ悪化の影響が少ないという研究が出ているので、伸びにくさを防ぐために部位を伸ばした状態で固定しましょう。
3.打撲を悪化させた場合に起こり得る危険性
①コンパートメント症候群
②骨化性筋炎
3.まとめ
今回は大腿部(もも)の打撲と、その応急処置についてご紹介しました。
打撲は「放っておけば治る」と考えがちですが、適切な処置をしないといつまでも鈍痛が残るとともに、伸びにくさも残って、いつまでもイメージ通りのプレーが出来なくなってしまう可能性があります。また場合によっては、損傷した部位が骨化し、さらに復帰が遅くなってしまう恐れもあります。
より良い状態で早期に復帰するためには、受傷後すぐに適切な処置をすることが大切です。打撲が起きてしまった際、すぐに処置ができるように、緊急時の備品を準備し、適切な対応方法を理解しておきましょう。
▶︎▶︎この記事を書いた人
【名前】森川稔之 Instagram Twitter
【現在の職業】アスレティックトレーナー
【所属チーム】横浜国立大学女子ラクロス部
【所有資格】
・日本スポーツ協会公認 アスレティックトレーナー
・日本トレーニング指導者協会認定 トレーニング指導者
・日本コアコンディショニング協会認定 マスタートレーナー
【経歴】
・2009〜2010 日本大学女子ラクロス部
・2011~2015 東日本女子ラクロスクラブチーム「CHEL」
・2016〜2018 青山学院大学女子ラクロス部
・2019〜2020 横浜国立大学女子ラクロス部