【ラクロスチームのMG/TR/SG必見!!】応急処置の RICE処置の意味とやり方

前回はラクロスに多い傷害(けが)についての記事を書きました。
応急救護の対応を考えるときには、どんな傷害が多いか知っておくことは重要です!!

そして、なぜその傷害が起こるのか、競技の特性なのか、環境の要因が大きいのか、個人の問題が大きいのかなどを探っていき、傷害を減らすことができれば素敵ですね!!

でも、競技をしている以上、傷害はつきものです。怪我を “0” にすることは難しい。
では傷害が起きてからどうするか。

練習に早く復帰するには、そして安全に復帰するには。リハビリで元の状態に戻す必要があります。
でも、元の状態でけがをしたんですから、再受傷を防ぐにはもっと高いレベルにトレーニングをする必要があります!
そこまでできていますか?
痛みがなくなったからといってすぐに競技復帰していませんか?
リーグ期間やその前は仕方なく早期復帰することはあります!
でも特にいまの時期(春までのオフシーズン)は慎重に復帰するべきです!
1番大事なのは重要な試合で最大のパフォーマンスを発揮することです。

早く復帰するために、リハビリの期間を短くするためには初期対応が重要です!この初期対応が良ければ比較的スムーズにリハビリが進みます。

そこで今回は【RICE処置】にいて改めてご紹介します。
それぐらい知ってるよ!という方が多いのではないでしょうか?
では、なんで冷やすの?なんで圧迫するの?どうやって圧迫するの?と選手に聞かれたときに答えられますか?
選手は早く治したい。だからこそ意味があることをしたい。
その意味・意図を堂々と伝えられるMG・TR・SGになりたいですよね!

RICE処置

前置きが長くなりました。

【RICE処置】
これは世に出回っているのでご存知の方も多いでしょう。

けがをした直後に行う初期対応の頭文字を取ったもので、
R:Rest (安静)
I:Ice (冷却)
C:Compression (圧迫)
E:Elevation (挙上)

であり、最近はP(Protection:保護)やS(Support:固定)を含めてPRICESとする人もいます。

これを受傷直後の炎症期(早くて2・3日、大きなけがだともう少し長いことも)に継続することでスムーズに治癒の過程が進みます。

 

治癒の過程【靭帯】

ラクロスは靭帯損傷が非常に多いです。
いわゆる捻挫などのことです。
靭帯が傷つくと炎症が起こります。
この炎症は治癒するために必要なのですが、そのときに余分な腫れやむくみができます。
この腫れは靭帯の主成分であるコラーゲンが修復するのを妨げたり、周囲の損傷を広げたり、よくない組織を作ったりします。
さらに、腫れて圧が高くなることで痛みを発生させたり、動きを制限したりします。

そのため、けがをした直後は腫れを予防するイメージでよいと思います。

冷却して組織の代謝を下げたり、血流量を低下させたりすること、圧迫して余分な物質の広がりを抑えたり、足などに血液を溜まりにくくすることで腫れや周辺組織を壊す物質が広がることを抑えます!

これを行うことで、スムーズにリハビリに移ることができ、復帰までの期間の短縮に繋がります!

アイシングの基本

アイシングはどのように行っていますか?
大きな差や間違いは少ないと思いますが、今一度確認!

使うものは、
氷、氷のう(or ポリ袋)、バンテージ(or ラップ)

※1つ重要なのは、氷は0℃未満のものは使わないでください!
製氷機は0℃かと思いますが、家庭用冷蔵庫は-18℃未満を保つようになっています。
0℃未満の氷は凍傷のリスクがある他に、冷却効率が悪いです。

0℃の氷=80cal/g  氷点下の氷=0.5cal/g

そのため、溶けかけや少し溶けた氷くらいの方が安全で効率がいいんです!

【アイスパックの作り方】
スライドの通りですが、氷を袋に入れて平らにします。

空気を抜いて、抜きながら袋をひねります。

袋の口をくくったら完成です!

アイスパックは0℃になると思いますが、
氷のうは温度が下がっても4℃くらいだそうです。

アイシングは1回15~20分程度、受傷直後であれば、1時間以上あけて1日3回以上を目安に行います。
アイシングと圧迫は3日程度継続しましょう。

アイシングは氷のうやアイスパックだけでなく、氷水に漬けたり、氷がないときは流水ででもしましょう!

圧迫の方法

圧迫、ないがしろにしていませんか?
アイシングもですが、私は圧迫に重きを置いています!
感覚的ですが、やはり圧迫すると腫れがましな気がするんです!

血液や血漿が血管外へ漏れ出して腫れることを防いだり、止血の意味もあります。
肉離れや筋の損傷の際はバンテージを巻くと歩くのが楽になったり圧迫は重要なんです!

圧迫はバンテージを使うことが便利で多いです。

弾性包帯やテーピングでもいいですが、何度も使い回せて締め付けすぎないので75mm~150mm ×5mくらいのバンテージを好んでいます!

足関節捻挫の圧迫はU字パッドを使います。
足関節は凹凸が多いので、ぴったりと圧迫できます!
ポリエチレンパッドをU字型に切って作ります。
パッドの厚さは薄めで問題ありません!
厚いと固定がしにくかったり靴が入らなかったりするので、、、

U字パッドのあいている部分をくるぶしに合わせて、
その上からバンテージを巻いて圧迫します。

筋の損傷(ハムストリングス肉離れ)などでも
バンテージを巻くなどして圧迫することが重要です!

圧迫するときにけがによっては関節を「曲げた状態」や「伸ばした状態」にしなければいけません。
これは長くなるので今回は割愛させていただきます。

圧迫は1~2時間程度に1回皮膚の状態を確認しながらできる限り継続するようにしましょう!
(汗疹や皮膚炎、循環障害、神経障害に注意!)

これは私個人の好みですが、
ポリエチレンパッドなどこれらの用品の購入は
Lindberghを利用することが多いです。

挙上血液が足の先に溜まらないようにすること、
血圧を低下させて浮腫を作りにくくすることが目的です!
心臓より高い位置に挙げるようにしましょう!

RICE処置はあたり前のように言われていて、
きちんと行えているチームもあると思いますが、
グラウンドでする場合に代用方法やより良い方法など
知識だけでなく知恵や道具を使った方法があります!

なんで、どうして、どのように?
といった知識を身につけてグラウンドで活用できるように、選手に伝えられるようにしましょう!

選手に良いものを提供できるように、
早く競技復帰する手助けができるようにしたいですね!

▶︎▶︎この記事を書いた人
【名前】宮代祐希(みやしろゆうき) Twitter , Instagram
【所属チーム】法政大学女子ラクロス部
【所有資格】理学療法士、JSPO-AT
【現在の職業】児童福祉施設職員、トレーナー
【経歴】
筑波大学大学院 人間総合科学研究科 修了(修士)
筑波大学女子ラクロス部 ’15〜’17
法政大学女子ラクロス部 ’18〜

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